かつて放牧といえば、文字通り北海道などの「牧場」で、じっくり休ませることで、しばらく戻ってくることがなかった。しかし、現代競馬は「外厩」での短期放牧抜きには考えられなくなっている。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、短期放牧について解説する。
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以前も「競走馬の居場所」に触れました。本番から遡れば、「競馬場」、「トレセンの厩舎」、「外厩」、そして「牧場」が馬にとってストレスの大きい順です。
調教師に与えられるトレセンや滞在競馬場の馬房数は最低12馬房から、実績などによって現在は30馬房まで。おかげさまで角居厩舎も30馬房あります。厩舎が管理することができる馬は、与えられた馬房数の2.5倍。角居厩舎でいえば75頭までです。
しかし、馬房が30しかないので残り45頭は、どこか別の場所にいなければならない。故障などで療養が必要な馬や長期で休ませたい馬は北海道の牧場に戻すのがいいのでしょうが、少し様子を見たらまた競馬に使いたいという馬は、いちいち北海道まで戻していては輸送費用がかさむし、馬にも負担になります。そこでトレセン近くの「外厩」がクローズアップされてきたわけです。