北朝鮮は、1983年4月、リバース・エンジニアリング(模倣設計)によって製造したスカッド(射程320km、全長11.2m)の打ち上げに成功し、イランやイラクに輸出するようになった。1993年5月、北朝鮮が独自開発した日本向けのノドン(火星7号、射程1300km、全長15.5m)の発射に成功した後、1998年8月に多段式のテポドン1号(白頭山1号、射程1000~2000km、全長25m ※23.5m説あり)を打ち上げた。
射程600kmのスカッドC(火星6号)の射程を1000kmに延長したスカッドERも開発され、2007年にはロシア製R27潜水艦発射弾道ミサイル(NATOコードネームSSN6)をベースに開発されたムスダン(火星10号、射程4000km、全長12.5m)が軍事パレードに初登場した。現在実戦配備されている北朝鮮のミサイルは、「スカッドC」「スカッドER」「ノドン」「ムスダン」の4種類である。
2012年12月に人工衛星の軌道投入を成功させたテポドン2号(銀河3号)は、ミサイルとして使用すればアメリカの西海岸に届く射程1万kmのICBMと推定される。しかし、金正恩は銀河3号はICBMではなく宇宙ロケットと考えているようで、金正恩が考えるICBMは、固定式ではなく移動式の発射台で、液体燃料ではなく固体燃料のエンジンで、アメリカまで届くものであり、KN08、KN14が完成間近なICBMと考えられている。
また、中距離ミサイルで固体燃料ロケットのKN11(北極星1号)、KN15(北極星2号)、そしてスカッドを改良した火星12号などの新型ミサイルが次々と公開されているが、これらのミサイルは日本に直接的に影響があるものではない。
●解説・文/惠谷治
※SAPIO2017年8月号