アイドルとミュージシャンの境界をまたぐような“森高千里”としか言いようのない特異な存在──。そんな森高千里(48)というジャンル形成に大きな役割を果たしたのが、身にまとう衣装と歌詞の独特さだ。
衣装で鮮烈だったのはミニスカート。スタッフの「短すぎる!」との制止も振り切り、自身で丈を決めた。センチ単位でこだわったという。
「ミニスカートは元から好きだったのもありますが、当時は全体的に色やスパンコールとかも派手でしたよね。肩パッドもスゴかったし(笑い)。
実はあれって、ライブで一番遠くのお客さんからも私の姿を見つけやすいようにってことが第一なんですが、TVで埋もれないためでもありました。当時はバンドブームで、一人で目立つには派手にするしかなかったんですよ」
一方、自らが詞を書く歌詞についてはどうだろう。身近な事柄を、平易かつ率直な言葉で紡ぎ出した独特な感覚は、どこから来たのか?
「歌詞は、狙う感じはまったくなかったです。逆に狙ったらああは書けないですよ(笑い)。歌詞の書き方を何も知らずに始めたので、自分が考えたことを普段使っている言葉で詞にしていっただけなんです。でもそれが結果的に“変わってる”と周りの人が面白がってくれた。
私には『臭いものにはフタをしろ!!』とか“怒りソング”がありますけど、思ったことを口に出したらまずいけど歌詞ならいいかなって書いた曲たちです。書いた時点で『あー言えた、スッキリ!』って感じでした(笑い)」