1960年代から1970年代にかけて活動していたとみられる結社のひとつに「犯罪者同盟」というものがある。その主要メンバーのひとりが死去したとの報をうけ、評論家の呉智英氏が、その評価と、その主要メンバーが晩年にどのようなところへたどり着いたのかについて振り返る。
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宮原安春が今年一月に死去していたと、友人から聞いた。しかし、購読している数紙の新聞に訃報記事を見た記憶はない。宮原は一応ノンフィクション作家ということになるだろう。
宮原安春という名を知ったのは、1970年代初めだったろうか。私が大学を卒業してほどない頃だったと思う。犯罪者同盟の一員としてである。うえっ、と思っただけで、著作を読む気にもならなかった。当時、宮原は犯罪者同盟の機関紙(というのか)以外に著作はなかったはずだから、読もうにも読めなかった。
犯罪者同盟については、1960年代後半、学生時代に知った。結成は1961年秋。私は中坊であり、全く知らない。大坊になり、年長の友人たちの口から聞いた。議長だか委員長だかが平岡正明で、宮原安春は書記長か何だかだろう。同盟員は総員で五、六人。全員が役職者だったのではないか。とにかく、犯罪者を糾合して革命を起こすという結社だった。