横綱昇進を果たしたばかりの稀勢の里が、わずか在位2場所で現役続行の土俵際に追い込まれている。故障を抱えたまま強行出場した名古屋場所では、2場所連続となる途中休場。稀勢の里の身に今、何が起きているのか──。
中学を卒業してすぐに入門し、30歳にしてようやく横綱昇進を果たした“苦労人”が、かつてなく落ち込んだ様子を見せているという。田子ノ浦部屋関係者はこう話す。
「休場が決まって以降、横綱は宿舎でも言葉を発しているところを見せない。ずっと黙り込んでいて、親方とも話ができていない状態です。責任感が強いだけに、今場所の負け方は相当ショックだったのでしょう」
稀勢の里は5月場所を11日目から途中休場。復活を期した名古屋場所でも、初日に御嶽海(関脇)、3日目に栃ノ心(前頭2)、5日目に勢(前頭3)に敗れ、6日目から休場に追い込まれた。
「3日目の栃ノ心戦までは、まだ言い訳もできた。ケンカ四つの相手に差し手争いで後れを取り、右から絞られての寄りに屈した。“得意の左が差せていたら”という思いもあったでしょう。
しかし、5日目の勢戦は、同じケンカ四つの相手に対して左下手を取ることができた。そのまま前に出て盤石の相撲になるはずのところ、回り込まれて小手投げを許した。これまでと違って、負け方が悪すぎた」(二所ノ関一門の親方の一人)