2016年に全国で発生した水難事故の発生件数は1505件、水難者数は1742人に上る。そのうち、およそ半数の816人が亡くなるか、行方不明となっている(警察庁生活安全局地域課調べ)。
海水浴場ではライフセーバーが常駐しているが、油断は禁物。高波や巻き波など、気をつけるべきポイントも多い。
なかでも注意したいのは、毎年のように死亡事故を引き起こす離岸流だ。日本赤十字社の救護・福祉部健康安全課の一瀬悦史さんはこう語る。
「岸から沖へ向かう強く速い流れが離岸流。これに流されると競泳選手でも逆らって泳ぐのは困難です。流された時には岸と平行に泳いで脱出するのが鉄則です」
ライフセーバーは離岸流が起きやすいポイントを知っている。事前に確認をして、決して子供を近づかせないように気をつけよう。
公共のプールには監視員がいるが、夏休みに学校のプールを開放する場合、親が安全確保を行うことも多い。
「PTAで監視をする時は“複数の目で見る”“死角を作らない配置”を心がけましょう。少なくとも3人体制で臨み、監視エリアの境界部分を重ねてください。屋外プールではプールサイドから離れると死角ができたり、光の反射で底が見えなくなりがちなので、水の近くに立って目を配るのが原則です」(一瀬さん)
強い流れのある排水口に吸い寄せられて、溺れる事故も起きている。また、アミューズメント施設にあるプールでは、すり鉢状に深くなるところもあるので、事前に親が確認し、危険な場所を子供に教えておくことも忘れずに。
家のビニールプールで遊ばせる場合も、決して子供から目を離してはいけない。Safe Kids Japan理事長で、小児科医の山中龍宏さんはこう語る。
「鼻と口が水に浸かると、たった5分で命を落とします。水のある場所で転べば、死んでしまう可能性があるという危機意識が必要です」
ビニールプールは、遊び終わったら必ず水を抜いて逆さまにする。水をためたまま放置してはいけない。
※女性セブン2017年8月3日号