中国人富裕層による日本の“医療爆買い”が近年、新たな展開を見せ始めている。末期がんの治療や美容医療の施術など、それまで主流だった「検診ツアー」から一歩進んだニーズが高まっているのだ。ジャーナリストの西谷格氏がレポートする。
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中国人富裕層の訪日医療ツアーは2000年代から始まっていたが、2011年の東日本大震災や2012年の尖閣問題で一時は退潮傾向にあった。それが個人旅行者の増加とともに、近年再び脚光を浴びている。
ゴルフ付きの人間ドックの場合は237万円といったものもあるが、一般的なレベルの人間ドックでも総額100万円ほどの金額になる。医療ツアーの受け入れ業務や医療通訳士の育成を行っている日本抗加齢センターの真野博氏が説明する。
「外国人患者は通訳を交えて会話するため、医師にとっては意思疎通の手間と時間が日本人以上にかかってしまう。さらに、人間ドックで使う検査機器の利用代金として、日本人向けより高く設定していることがあるようです」