タレントの有吉弘行やロンドンブーツ1号2号の田村淳など、テレビ番組などで、他人の握ったおにぎりが食べられないことを公言する芸能人をここ数年、よく見かける。本誌・女性セブンでは、セブンズクラブ会員(全国の20~80代の男性・女性)にアンケートを実施し、477名が回答(アンケート実施期間2017年5月24~31日)。「食べられる」が52.2%で、「食べられない」が47.8%となり結果は賛否両論に。あなたはどう考える?
おにぎりは、奈良時代初期に編纂された『風土記』に「握飯(にぎりいい)」として記述されており、1300年の歴史を経た今も日本食文化の代表だ。
だが一方で、素手で握るおにぎりには、食中毒の危険も潜む。薬用せっけん「ミューズ」の調べによれば、水洗いだけの手で握ったおにぎりに付着している雑菌の数は、石けんなどを使って手洗いをして握った場合に比べ約25倍に。さらに3時間たつと、素手で握ったおにぎりの菌の数は約611倍に増殖するという。
日本食品衛生協会の栗田滋通さんは次のように説明する。
「雑菌のついた手で握ったおにぎりに、ノロウイルスや黄色ブドウ球菌などの病原性微生物がついていると、病気をもたらす危険性があります」
素手で握るなら、30秒間洗剤を泡立てて、手の隅々まで洗う。これを2回繰り返すことが大切だ。
また、他人のおにぎりが食べられない要因の1つには人間関係の希薄化がある、と言うのは、愛国学園短期大学准教授の竹内由紀子さんだ。
子供の頃から行事などで、他人のおにぎりを食べた経験を持つ人の多くは、大人になっても抵抗なく食べられる。しかし、こうした経験のない人は、市販のおにぎり以外食べる機会がほぼなく、手作りを受け入れられない。
「おにぎりは、単なる料理ではなく、作ってくれた相手の応援や励ましなどの真心を表すイメージが日本人にはあります。他人が握ったおにぎりを食べられるか否かは相手の思いに感謝できるかにも関係します」(竹内さん)
機械が握ったおにぎりなら食べられるが素手のものは無理、というのは、衛生面を考えれば正解かもしれない。しかし、おにぎりが“むすぶ”思いやりを感じられないのは、少し複雑な気持ちになる!?
※女性セブン2017年8月3日号