今、英会話が大ブームで、人気の英会話教室はず~っと満員だという。そこで今回は、英語を全然話せなかった人が英語を取得した独自の勉強法をご紹介。66才で大学院に合格した森隆夫さん(68才)は、英語の勉強は大好きな洋書を読み続けるだけだったと語る。
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私は60才で墨田区役所を定年退職し、65才まで再雇用として勤務しました。その後、趣味がきっかけで、65才の時に早稲田大学大学院江戸文学コースを受験することを決意したんです。
受験時の選考科目は日本語学・日本文学、外国語は英語を選択。試験と名のつくものは、30代で管理職試験を受けて以来、実に30年ぶり、大学受験からは48年も経っていましたね。記憶力も昔に比べたら衰えている。でも、英語に関しては少しだけ自信があったんです。
私は30代の頃から趣味で海外のペーパーバック(洋書)を読んでいました。1年に3~4冊、おもしろそうだなと思うものを、あくまでも趣味で読んでいたんです。勉強として読んでいたわけではありません。
まずは辞書を使わず、日本語訳の文庫本を読んで、あらすじをあらかた頭に入れてしまいます。それから英語を読むんです。そうすると、辞書なしでもだいたい読むことができます。
大学院受験の時は、少しだけやり方を変えました。過去に読んだことのある本の中から、中でもいちばんお気に入りの本をたった1冊だけ選んで、それをひたすら読み込みました。
試験直前は、その中でもおもしろい章だけしか読みませんでした。大人になるとあれもこれもやると逆に忘れてしまうので、それなら浮気せずに、1章だけを繰り返し何度も徹底的に読み込んだ方が覚えられるんです。その方が語学って頭に入ると思うんです。
そのうちに読むスピードもどんどん速くなって、英語にだんだん慣れてきます。読むのが速くなるということは、理解も速くなっているんです。
英語は、語感、感覚です。読み続けていると、文章の波があることに気づきます。この文章の波を体感できると、自分の感情もそれと一緒に動いていく。これを繰り返すと、英語に対して脳も働く。英語はセンスをつかんだ方が、上達すると思いますね。
受験では、周りはほとんど20代というなか、無事に合格できました。今は大好きな江戸文学の修士論文に取り組んでいます。
撮影/辻村耕司
※女性セブン2017年8月3日号