20あるチケット売り場のうち、14が閉まっている。入場料金は大人6900円、3~12才までの子供は5300円。本誌・女性セブン記者が大人チケット1枚を購入してゲートをくぐると、大きなレゴブロックで作られた巨大な赤い恐竜が出迎えてくれた。
7月初旬平日の昼下がり、愛知県名古屋市のテーマパーク『レゴランド・ジャパン』を訪れた。東京ドーム2個分の広大な敷地内にはレゴブロックでできた船やジェットコースター、ゴーカートから巨大滑り台まで、さまざまなアトラクションがある。だが、そのいずれにも行列はない。
閑散とした場内で、ときおり聞こえてくるのは中国語。メリーゴーラウンドから出てきた家族連れに声をかけると、片言ながら返してくれた。
「ココハイイトコロデス。ヒトゼンゼンイナイ。デモココ、チョットオカネタカイ」
1デーパスポートの料金は、東京ディズニーランド、シーともに大人7400円、4~11才の小人が4800円。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(以下USJ)は大人7600円、4~11才の子供が5100円。
子供料金を比べるとレゴランドの料金は若干割高である。今年4月にオープンしたばかりのレゴランドだが、平日はすでに閑古鳥が鳴いていた。レゴランドとともにオープンした隣接する商業施設『メイカーズピア』内のお店も困り顔。レゴランドの苦戦が直撃し、撤退を決めた店もある。
レジャーランド市場に詳しい桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授の山口有次氏が分析する。
「アトラクションなどの魅力がうまく伝わっていません。日本より相場が高い海外の入場料金の水準に合わせているので、他のテーマパークより高く見えてしまうのも客足が伸びない要因の1つ。地域性の影響もある。愛知は様子見する県民性なので、躊躇してしまいがちなのです」
窮地のレゴランドをさらに追い詰める計画も進行中だ。同県長久手市の愛・地球博記念公園が『ジブリパーク』として2020年にリニューアルオープン。レゴランドからは車で1時間ほどの距離。
2001年にオープンした『三鷹の森ジブリ美術館』(東京・三鷹市)は、宮崎駿作品の世界観を再現し、『猫バス』など人気キャラクターが来場者を出迎える。ここでしか見られない短編アニメの上映もあり、1年を通してチケットは常に完売。通算入場者は1000万人を超え、国内有数の人気レジャー施設だ。
「ジブリパークが来たら、うちも撤退かなぁ…」
メイカーズピアのある飲食店店主がぼやく。だが、あきらめるのは早い。立地や規模を問わず独自の戦略で成功しているテーマパークは多数ある。
※女性セブン2017年8月10日号