人が何かを忘れるのは、いつまでも悲しいことや辛いことばかり考えてしまわないために必要なことだ。ところが、ネット民は忘れないし、忘れさせてくれない。過去のミスが繰り返し呼び起こされ、何かと言えば引き合いに出される。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、一度のミスに固執するネット民の記憶力の良さについて解説する。
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若い従業員が上司からしたり顔で言われる説教の定番が「信用獲得には時間が必要だが、信頼を失うのは一瞬だ。そして、信頼を回復するのは難しい」である。お前にも信頼ねぇよ、バカ野郎、と思いつつも、ネットに関してはこれは特に正しい意見だ。
お笑いタレント・土田晃之といえば、あらゆる番組で活躍する芸能界の“中堅の頂点”に君臨する人物である。彼は「ご意見番」的な役割も演じることが多いが、ラジオ『土田晃之 日曜のへそ』(ニッポン放送)にて、浦和レッズに対しツイッターで暴言を吐きまくった上西小百合衆議院議員について「会話ができない」や「どこのスタッフからも総スカン」などとこき下ろした。
「この女は叩いてもいい」という土田なりの計算高さも感じられるが、アンチ上西派にとっては快哉を叫びたくなるような発言であろう。
しかし、ネットは一筋縄ではいかない。この件がネットニュース化した後、2ちゃんねるでは「黙れイエニスタ」「イエニスタが言うのかよwww」「ビジネスサポ・イエニスタ土田」といった書き込みがされた。これは一体何かといえば、2009年に話は遡る。サッカー好きを公言していた土田が、バルセロナ所属のアンドレス・イニエスタのことを番組で何度か「イエニスタ」と言ったことが尾を引いている。
「ビジネスサポ」とは、「商売のためににわかサッカーファンになった」ことを意味し、熱心なサッカーファンから嫌われる。今回の件は「イニエスタの名前を正確に知らぬお前が言っても何の説得力もない」ということである。