年子の弟を亡くし、還暦になって初めて身内の死に直面した本誌・女性セブン名物記者のオバ記者(60才)が、地方における葬儀にまつわる問題について綴る。
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「子供の頃は、葬式と聞くと飛んで行ったよな」
「じゃんぽん!」
これでわかる人がどれほどいるか。私が子供の頃、実家付近でのことだが、葬儀が終わったら葬列をつくってお墓まで運んでいた。その間、道にまいた小銭を子供が競って拾うのだけど、昭和40年代の数百円は、子供の大金だ。
しかも葬式のお金は不浄だから、水で洗ってその日のうちに使い切っていい、というのが地域のルールだった。
「(この風習を)しばらく聞かないけど、どうしたの?」
葬儀のベテラン、弟嫁の姉、M子ちゃん(61才)に聞くと、10年ほど前まで残っていたのだとか。
いっせいに中止になったのは、「“まき銭拾い”の大人のプロ集団が、どこにでも現れるようになったんだよ」。
大人数人がチームを組んで数千円のまき銭をかっさらう図は、まさに地獄絵図。さらに葬儀社の人から聞いてわが耳を疑ったのは、通夜・葬儀泥棒のこと。田舎では新聞の死亡欄に一般人が載る。みんな葬儀場に行く通夜と葬儀の日を調べ、空き巣狙いをするのだそう。
「何軒も被害にあっています。絶対に誰か留守番をしてください」と葬儀社は言うが、泥棒は「いるのかな~」と外から声をかけて返事がないとガラス戸を壊して押し入るのだ。
こういう人は、「外道」だの「罰当たり」と言われても、「だから?」と聞き返すかも。
そして四十九日の法要の後の食事会のシメは、喪主を務めた甥っ子の「父ちゃんが夢に出てきた話」。
「どんな様子だった?」
「夢だからはっきりとは言えないけど、落ち着いて見えたよ」
それを聞いた私が、「冗談じゃないって。さんざん人に迷惑をかけて」と口火を切ったら、またまた弟の悪口大会。
話題の中心にいたかった弟は、絶対喜んでいるはずだ。
※女性セブン2017年8月10日号