総務省の調べによると、空き家軒数は約820万戸に上り、これは、日本の住宅の7軒に1軒にあたる。空き家の処分や相続対策が社会問題になっているにもかかわらず、本誌・女性セブン読者によるセブンズクラブ会員(全国の10~80代の男性・女性)493名を対象としたアンケートでは(実施期間2017年6月7~14日)では、自宅が「持ち家」だという人が76.7%、「借家」だという人は23.3%だった。一方、持ち家に住みたいと考える「持ち家派」は79.5%、借家の方がいいという「借家派」は20.5%と、本当は持ち家に住みたいと考える人が多少多いことがわかる。持ち家か借家か、現代はどちらにメリットがあるのだろうか──。
総務省統計局が2016年に公表した「平成25年住宅・土地調査結果」によれば、全国の住宅総数に占める持ち家の割合は61.7%で、借家は35.5%という結果に。
ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔さんは、30代までは借家が無難だと話す。
「勤務先の異動、子供の保育園、ご近所トラブルなど、予期せぬ問題が起こっても、借家なら気軽に引っ越せます」
万が一、仕事がなくなり、安定した収入が見込まれなくなっても、借家なら身の丈に合った場所に住み替えて再起できる。家賃の高い部屋を選ばないようにすれば、貯蓄もしやすい。
「いずれ家を買うにせよ、借家に住み続けるにせよ、貯蓄さえあれば、選択肢が広げられます」(山崎さん)
経済状況が不安定な今、住宅ローンという借金を抱えるのは大きなリスクになる。
一方、住宅評論家の櫻井幸雄さんはこう主張する。
「阪神・淡路大震災では、分譲マンションの倒壊は皆無でした。倒壊したのは、ほとんどが借家。すべてというわけではありませんが、耐震性の劣る建物も含まれているのは事実。家賃が安いほど危険性が高まるのは否めません」
コンクリート造の場合、貸借用建物の壁は、建築基準法で定められた10cmの厚さが大半。一方で、分譲は20cm以上。10cmでは、気温や湿度の影響を受けやすく、音も伝わりやすい。プライバシーや住み心地の面で考えると、持ち家の方に軍配が上がる。
いずれにせよ、ライフスタイルが定まってから選ぶべき。大きな買い物だからこそ、金利や値段に振り回されすぎないことも肝に命じておきたい。
※女性セブン2017年8月17日号