スポーツ

佐々木信也氏「解説者は勇気を持って本当のことをいうべき」

佐々木信也氏が最近のスポーツ報道に苦言を呈する

 1976年にスタートした『プロ野球ニュース』は2001年に地上波の放送が終わり、CSに舞台を移して同じ名前、そしてスタイルのまま、現在も元気に放送を続けている。番組開始時にキャスターを務めた佐々木信也氏が、同番組について語る。

 * * *
 1976年からMCとして番組のかじ取りを任されていた12年間は「楽しかった」の一言に尽きます。球場でたくさんのネタを仕込んでカメラの前に座り、その日の番組をどうやって面白くするかだけを考える毎日でした。監督やコーチ、選手の95%が見てくれていたと聞いた時は嬉しかったし、やりがいのひとつになりました。

 成功した大きな原因は全国のネット局が競っていいものを作ろうとしたこと。現場では記者が選手に食い込み、中継には各局がエースアナウンサーを投入した。この目に見えない競争がこれまでにないスポーツニュースにつながったと思います。当時の評論家たちは言いたい放題で、それを取りまとめるのが私の仕事でしたが、それを逆手にとって、本番ではいかに本音を話してもらえるか。こんなことばかり考えていましたね。

 最近のスポーツ報道を見ていると、褒めてばっかり。選手を叱る解説者がいない。だから聞いていて、「そうだ、そうだ」と拍手を送りたくなるようなコメントがない。別所(毅彦)さんや豊田(泰光)はいいプレーは褒めて、悪いプレーは叱った。私も辛口と言われましたが、本当のことを言っていただけ。勇気を持って本当のことをいうべきです。選手の名前を呼び捨てにできず、「××選手」とか言っているようでは話にならんですね。

 これもプロ野球が地上波から消えた原因のひとつだと思います。BSやCSでの中継ではマニアしか見ない。それでは国民的スポーツとはいえません。この解説者の喋りが聞きたいからこの局の野球中継を見たいというファンがいない。解説者のレベル低下が懸念されます。

撮影■山崎力夫 取材・文■鵜飼克郎

※週刊ポスト2017年8月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

12月9日に亡くなった小倉智昭さん
【仕事こそ人生でも最後は妻と…】小倉智昭さん、40年以上連れ添った夫婦の“心地よい距離感” 約1年前から別居も“夫婦のしあわせな日々”が再スタートしていた
女性セブン
去就が注目される甲斐拓也(時事通信フォト)
FA宣言した甲斐拓也に辛口評価 レジェンド・江本孟紀氏が首を傾げた「なんでキャッチャーはみんな同じフォームなのか」
NEWSポストセブン
10月1日、ススキノ事件の第4回公判が行われた
「激しいプレイを想像するかもしれませんが…」田村瑠奈被告(30)の母親が語る“父娘でのSMプレイ”の全貌【ススキノ首切断事件】
NEWSポストセブン
NBAレイカーズの試合観戦に訪れた大谷翔平と真美子さん(AFP=時事)
《真美子夫人との誕生日デートが話題》大谷翔平が夫婦まるごと高い好感度を維持できるワケ「腕時計は8万円SEIKO」「誕生日プレゼントは実用性重視」  
NEWSポストセブン
元夫の親友と授かり再婚をした古閑美保(時事通信フォト)
女子ゴルフ・古閑美保が“元夫の親友”と授かり再婚 過去の路上ハグで“略奪愛”疑惑浮上するもきっぱり否定、けじめをつけた上で交際に発展
女性セブン
六代目山口組の司忍組長。今年刊行された「山口組新報」では82歳の誕生日を祝う記事が掲載されていた
《山口組の「事始め式」》定番のカラオケで歌う曲は…平成最大の“ラブソング”を熱唱、昭和歌謡ばかりじゃないヤクザの「気になるセットリスト」
NEWSポストセブン
12月9日に亡くなった小倉智昭さん
小倉智昭さん、新たながんが見つかる度に口にしていた“初期対応”への後悔 「どうして膀胱を全部取るという選択をしなかったのか…」
女性セブン
激痩せが心配されている高橋真麻(ブログより)
《元フジアナ・高橋真麻》「骨と皮だけ…」相次ぐ“激やせ報道”に所属事務所社長が回答「スーパー元気です」
NEWSポストセブン
無罪判決に涙を流した須藤早貴被告
《紀州のドン・ファン元妻に涙の無罪判決》「真摯に裁判を受けている感じがした」“米津玄師似”の男性裁判員が語った須藤早貴被告の印象 過去公判では被告を「質問攻め」
NEWSポストセブン
トンボをはじめとした生物分野への興味関心が強いそうだ(2023年9月、東京・港区。撮影/JMPA)
《倍率3倍を勝ち抜いた》悠仁さま「合格」の背景に“筑波チーム” 推薦書類を作成した校長も筑波大出身、筑附高に大学教員が続々
NEWSポストセブン
12月6日に急逝した中山美穂さん
《追悼》中山美穂さん、芸能界きっての酒豪だった 妹・中山忍と通っていた焼肉店店主は「健康に気を使われていて、野菜もまんべんなく召し上がっていた」
女性セブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【入浴中の不慮の事故、沈黙守るワイルド恋人】中山美穂さん、最後の交際相手は「9歳年下」「大好きな音楽活動でわかりあえる」一緒に立つはずだったビルボード
NEWSポストセブン