8月3日に発足した安倍改造内閣だが、様々なスキャンダルを抱える大臣以上に政権の不安定要因となりかねない人物もいる。その筆頭が林芳正・文科相だろう。
文科省の官僚たちは加計問題で政権に反旗を翻し、文書を次々にリークして疑惑を炎上させた。なんとしても造反を封じ込めなければならない役所だ。
そこで首相は「疑惑の火消し役」を期待して、官僚操縦に定評がある実務家の林氏を大臣に送り込んだ。
「加計学園では政府の対応が後手に回った。文科省と内閣府にまたがる話であれば、第三者が両方を調査対象に突き合わせてチェックするプロセスがあった方がより良い調査になる」
入閣前、林氏は「第三者による調査」を主張し、これまでの大臣たちのように総理の意向を忖度して簡単に疑惑隠しに加担するとは考えにくい。自民党非主流のベテラン議員はこう見る。
「林家と安倍家はどちらも山口県下関市が地盤の名門政治家一族で、父親の時代から“天敵”ともいえるライバル関係にある。
参院議員の林氏は岸田文雄・政調会長の次の宏池会の総理総裁候補で、早く参院から衆院に鞍替えしたい。子どもがいない安倍首相が退陣すれば、山口4区を奪うチャンスが生まれる。安倍総理は林文科相を起用したことで加計疑惑を幕引きするか、それとも疑惑をさらに炎上させて政権を絶体絶命の危機に追い込むかの生殺与奪の権を握られたといっていい」