スポーツ

角居勝彦調教師 「放馬」が競走馬にもたらす功罪

角居勝彦氏が「放馬」について語る

 人が度を超して調子に乗ることを「羽目をはずす」という。これは馬にまつわる慣用句で、羽目は馬具の「ハミ」に由来しているそうだ(諸説あり)。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、ハミを外して暴れ出す荒馬の様子、「放馬」が馬に残すトラウマについて考察する。

 * * *
 返し馬やゲートに入るときなどに競走馬が騎手を振り落として逃げてしまう。鞍上の立居にスキがあったのかどうなのか、一瞬のアクシデントです。馬が極度に興奮したために起こる事故ですが、なかには、馬が意図して(?)振り落としているようなときもある。

 放馬した馬は関係者が一丸となって捕獲し、馬体検査を行なって出走の可否を決めますが、故障してしまったり疲労が著しいときには競走除外となり、その馬に関連する馬券は返還されます。

 馬にとっては気心知れたはずの騎手の存在さえもストレスで、本来背には誰もいないほうがいいのです。「鞍上人なく、鞍下馬なし」という故事は人馬一体になった見事な騎乗という意味ですが、本当に騎手がいなくなってはコントロールがきかず、競馬ができません。

 落馬を含めた放馬でもトラウマが生まれます。放馬には2種類あります。放馬後にゆったり走る場合と、いきり立って暴走する場合。

 前者は背中が軽くなって清々している。いわば放牧に出た感じで、人間のことを気にすることなく馬体をのびのびとストレッチできる。周囲の動揺を尻目にメンタル面でリラックスしているかもしれません。そういう馬は、ある程度走ると満足します。そして寂しくなり、人や他の馬に寄り添いたくなって簡単に捕まることが多い。

関連キーワード

関連記事

トピックス

九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
“鉄ヲタ”で知られる藤井
《関西将棋会館が高槻市に移転》藤井聡太七冠、JR高槻駅“きた西口”の新愛称お披露目式典に登場 駅長帽姿でにっこり、にじみ出る“鉄道愛”
女性セブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン
胴回りにコルセットを巻いて病院に到着した豊川悦司(2024年11月中旬)
《鎮痛剤も効かないほど…》豊川悦司、腰痛悪化で極秘手術 現在は家族のもとでリハビリ生活「愛娘との時間を充実させたい」父親としての思いも
女性セブン
ストリップ界において老舗
【天満ストリップ摘発】「踊り子のことを大事にしてくれた」劇場で踊っていたストリッパーが語る評判 常連客は「大阪万博前のイジメじゃないか」
NEWSポストセブン
野外で下着や胸を露出させる動画を投稿している女性(Xより)
《おっpいを出しちゃう女子大生現る》女性インフルエンサーの相次ぐ下着などの露出投稿、意外と難しい“公然わいせつ”の落とし穴
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告。父・修被告が洗面所で目の当たりにしたものとは
《東リベを何度も見て大泣き》田村瑠奈被告が「一番好きだったアニメキャラ」を父・田村修被告がいきなり説明、その意図は【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン