うだるような暑さに包まれた8月6日午後、東大病院(文京区)に天皇皇后両陛下のお姿があった。両陛下は健康診断のため同病院に足を運ばれた。
「例年、両陛下は新年の行事が落ちついた1月末と、夏の公務が立てこむ前の7月末頃に揃って健康診断を受けていらっしゃいます。8月には、両陛下がもっとも重要視されている行事の終戦記念日もありますからね」(皇室記者)
先の大戦が終結してから、今年で72回目の夏を迎える。戦争を実際に体験した人の数は年を追うごとに少なくなるが、「祈りの旅」を続けられている両陛下にとって、戦禍の記憶は語り継がれなければならないもの。
陛下は、日本人が心に留めておかなければならない4つの日として、6月23日の沖縄戦終結の日、8月6日の広島の原爆の日、8月9日の長崎の原爆の日、そして8月15日の終戦記念日を挙げられていた(1981年の会見)。
冒頭、両陛下が健診を受けられた日は、広島に原爆が落とされた日でもあった。両陛下は病院に出発される前に黙祷を捧げられ、犠牲になった人たちの魂と静かに向き合われたという。
その前日の8月5日、秋篠宮さまと佳子さまは、お忍びで京王プラザホテル(新宿区)へと足を運ばれた。そこでは、沖縄地上戦に関する展示が行われていた。
「午前10時半頃、ホテルに到着されたおふたりは、地上戦関係の書籍をはじめ、少年兵部隊や女子学徒などの痛ましい写真や資料をご覧になっていました。その後、隣の会場で戦争体験者の講演や沖縄の高校生の発表、三線や琉球舞踊をご覧になりました。佳子さまは真剣な表情で資料の1点1点に向き合い、言葉に耳を傾けられていました」(前出・皇室記者)
当初、お出ましは秋篠宮さまお1人の予定だったが、直前になって佳子さまが同行されることが決まったという。
「秋篠宮さまは、その日午後から別のご予定がありました。例年なら講演のあとに関係者とお話しになる時間を取られるのですが、今年はそれもなく早々にお帰りになりました。それほど多忙な中でも足を運ばれたのは、戦争へ向き合うお気持ちをしっかりと受け継がれているということなのでしょう。そして、それは佳子さまもまた同様なのだと思います」(前出・皇室記者)
撮影/雑誌協会代表取材
※女性セブン2017年8月24・31日号