健康長寿には「適度な運動」が大切だが、この「適度」の判断が難しい。65歳以上の運動には常にリスクが潜んでいる。
「“歩けば歩くほど健康になる”という常識は大間違いです」
そう語るのは、東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利氏だ。青柳氏は、2000年から群馬・中之条町の65歳以上の住民を対象に大規模調査を行なった。
「研究の結果、1日8000歩以上歩いても健康増進や病気予防にはほとんど意味がないことが分かりました。健康長寿の理想は『1日8000歩、20分の早歩き』です。
また、高齢者には『早朝の散歩』を励行する人が多いが、朝は血液がドロドロの状態のため血栓が詰まりやすく、動脈中の活性炭素を増やし、動脈硬化から心筋梗塞や脳卒中になる怖れがある。歩くなら夕方の方が適切です」(同前)
また、健康のために「エレベーターより階段」を選ぶのも危ない。
「階段を降りる時は膝の半月板や靭帯に大きな負荷がかかります。半月板と靭帯は筋肉と違って鍛えられないため、65歳オーバーは無要な負荷を避けるべき。
『電車やバスで椅子に座らない』ことも軟骨部分に不要な負荷をかけます」(戸田リウマチ科クリニックの戸田佳孝医師)
※週刊ポスト2017年8月18・25日号