3刷となった『なんとめでたいご臨終』(小学館)。在宅看取りを1000人以上経験してきた在宅医療の名医・小笠原文雄さんが、最期を自宅で穏やかに過ごした人たちのエピソードを綴った本書は大きな感動を呼び、現在静かなブームとなっている。
「祖母を看取った経験があり、それぞれのかたがたのストーリーが重なって涙が出てきました。実は家で看取る覚悟、それがなかったし、決心がつかずに後悔の気持ちでいっぱいです。家族が亡くなって『皆でピース』なんて、本当に半信半疑です。でもご家族を見守るスタッフのかた、最期まで孤独にさせない小笠原先生に尊敬の気持ちでいっぱいです」
これは編集部に届いた、『なんとめでたいご臨終』を読んだ読者からの感想のひとつ。発売から1か月でたちまち3刷が決定。しかし、入荷したそばから売れていき、品切れ店がいまだ続出している。小笠原さんが院長を務める小笠原内科のある岐阜県の書店「自由書房」では、発売以来6週連続でベストセラー第1位を記録中だ(6月19日~7月30日調べ。全店書籍部門)。EX高島屋店の大塚圭子さんはこう話す。
「購入されるのは、これからどうやって生きていこうかと考えたり、ご家族の介護が始まったご高齢のかたが多いですね。私も読んで、感銘を受けました。これからさらに進む高齢社会で、老老介護やおひとりさま高齢者が増えていくと思いますが、この本を読むと、これからの生き方にとても希望が持てると思います。そして、小笠原先生の書かれている『希望死・満足死・納得死』は誰しもできると思えるからこそ、ベストセラーになっているのでしょう」
実際、冒頭で紹介した以外にも、切実な思いからこの本を手に取った読者からの感想が多数寄せられている。
「私は1年前、父を肺がんで亡くしました。私は立ち会えませんでした。家に帰りたがっていた父…病院で家族の立ち会いもなく、旅立ったというのは、いまだに心に引っ掛かります」(50代・女性)
「私の主人は、若くしてがんのステージ4です。最期を覚悟しております。ピースで送ってあげたいと思いました」(40代・女性)
「看取りは予想が立たず、誰も『これがいちばん最適な方法だ』ということを教えてくれません。父を看取った今、この本を読んで、時に涙し、時に担当医師の言葉の意味がわかり、非常にうれしくなりました。ありがとう」(50代・女性)
「私は難病で、ステロイド剤を12年ものんでおり、それでも日々、明るく生きようと心がけております。姉や知人を病院で見送りましたが、常々、人工呼吸器の取り付けはどうなのかと思っておりました。残った人の自己満足、『やれることはやった』ということでしょうか。私は絶対に嫌だと主人に言っておりますが、どうなることやら。この本に勇気をいただきました」(70代・女性)
あなたはどんな最期を迎えたいですか?
※女性セブン2017年8月24・31日号