カジノ解禁に向けた動きが活発化している。政府はカジノの入場回数を制限するなど運営規則を盛り込んだ有識者の報告書をもとに、秋の臨時国会に実施法案を提出する予定だ。
「日本版カジノ」をめぐっては、ギャンブル依存症対策を含め、運営する事業者の選定も焦点となるが、国内のみならず海外企業も虎視眈眈と参入を狙っているという。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が最新動向をレポートする。
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IR(統合型リゾート)が注目されている。IRとは、カジノをはじめ、ホテルや国際会議場、レストラン、リラクゼーション、アトラクションなど多様な施設が集まった巨大リゾートだが、カジノ施設があることが前提となる。
現在公営ギャンブルを例外として、国内で賭博・ギャンブルは禁止されているが、2016年末にはIR推進法案が成立、今年度末のIR実施法案成立が見込まれている。
IRは公営ギャンブルとは異なり、国や自治体の直接運営ではなく免許を発行する「民活」となり、実施法案の成立後、自治体や事業者が選定され開発がスタートする。会議場、劇場、国内旅行案内、ホテルの4機能を施設に併設することが選考の条件とされる。
早くても2023年以降の開業といわれているが、本年度から来年にかけ自治体や事業者の選定がすすめられることになり、誘致・参入の動きが水面下で活発になっている。準備しているとされる自治体は約10といわれているが、当初選定されるのは2~3程度の見込み。
そのような中、目下有力候補とされているのが大阪だ。USJや天保山をロケーションとする大阪湾岸の人工島「夢洲(ゆめしま)」がその舞台で、大阪府・市をはじめ経済同友会など一丸となり開発がすすめられている。夢洲は大阪万博の誘致候補地でもある。
大阪誘致を見据えた事業者の動きも活発だ。カジノの本場、ラスベガスの「ウィン・リゾーツ」も参入に名乗りを上げている。ウィン・リゾーツはラスベガスをはじめ、マカオなどでリゾートを展開。日本での知名度は低いが、敷地30万坪(東京ドーム20個分)客室数4750を擁する規模は世界の五つ星ホテルの中では第1位とホテル業界では有名な企業。
IRとホテルは切り離せない存在であり、高いホスピタリティを提供する五つ星ホテルはIRに必須である。ラスベガスIRのフロントランナーとして躍進してきた企業として知られているウィン・リゾーツだが、特にラグジュアリーホテル運営には定評があり“ホテルパーソンの桃源郷”ともいわれる運営企業だ。
同社のチーフ・マーケティング・オフィサーであるマイケル・ウィーバー氏は、
「現代のIRにおいて重要なのはゲーミング部門よりもノンゲーミング部門。経済効果はもちろんだが、当社のホテルに代表されるような高いホスピタリティマインドで、カジノに限らず最高レベルのエンターテインメントを我々は日本版IRへ提供できる」
と自信をのぞかせる。