投資情報会社・フィスコ(担当・村瀬智一氏)が、株式市場の8月14日~8月18日の動きを振り返りつつ、8月21日~8月25日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は下落。北朝鮮を巡る地政学リスクについては、北朝鮮の金正恩労働党委員長が米領グアム周辺への中距離弾道ミサイルの発射を見合わせたことを受け、警戒感が和らぐなか、Xデーとされていた15日には日経平均は200円を超える反発をみせた。しかし、夏季休暇シーズンで参加者が限られるなか、前週の大幅下落に対する自律反発の域は脱せず、次第に戻り待ちの売りに押されるなか、こう着感の強い相場展開となった。
そんな中、バージニア州で発生した白人至上主義者らと反対派による衝突を巡るトランプ大統領の発言によって、2つの大統領助言組織が解散に追い込まれたことで、重要政策の実現が難航するとの見方が広がった。さらに週末にはスペイン・バルセロナで発生したテロ事件を受けて、投資家心理が悪化するなか、日経平均は5月以来の安値水準となった。
今週はお盆休み明けから国内機関投資家の動きが出てくるとみられるが、海外投資家については9月4日のレイバーデー明けまでは休暇を取る動きが意識されやすく、引き続き商いの膨らみづらい需給状況になりそうだ。また、北朝鮮を巡る地政学リスクについては、米国防総省は米軍と韓国軍が定例の合同軍事演習を21日から実施するため準備を進めていることを明らかにしている。北朝鮮の反発が警戒されるなか、外部環境の動向を睨みながらの相場展開になろう。
また、今週はカンザスシティ連銀が8月24日から26日に開く経済シンポジウム(ジャクソンホール会合)が注目される。今年はECBのドラギ総裁が3年ぶりに参加する見込みである。この講演でECBがユーロ圏経済に対する自信を深めていることや、同経済の金融緩和策への依存度低下を示唆するとみられている。ジャクソンホール会合での講演を利用して、投資家に9月の政策転換の準備をさせることができるとの見方である。
また、米イエレン議長は25日に講演を予定しており、「ハト派」的な内容になるとの期待が高まる可能性があろう。ジャクソンホール会合への思惑が為替相場へ影響し、これが株式市場への変動要因になりそうだ。