連日熱戦が繰り広げられる第99回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)。甲子園のテレビ中継を観ていると、不思議に感じることがある。マウンドへ上がる投手はじめ、野手たちがみな真新しいグラブを手にしていることだ。『高校野球マネー事情』の著者でスポーツジャーナリストの手東仁氏がいう。
「プロと違い、高校野球では選手個人への用具の無償提供が禁止されている。しかし名門校の中心選手に自社製品を使ってもらえばこの上ない宣伝になる。そのためメーカーは地元スポーツ用品店を通じて有力校に食い込むんです。普段から練習用ボールなどを格安で納入し、甲子園出場となればグラブも“超”がつく割引価格で新作を提供する」
ある甲子園出場経験者もこう証言する。
「新品グラブは柔らかく加工してから選手に渡されるのですが、わずか数週間で試合に使うのでエラーしないかヒヤヒヤもの。また、メーカーの本当の狙いはもっと単価の高いピッチングマシンやグラウンド備品などを学校に一括購入してもらうことです。エビでタイを釣る伝統的な方法ですね」
※週刊ポスト2017年9月1日号