相撲ブームが沸騰している。「謎のスー女」こと尾崎しのぶ氏が、現在相撲コラムを週刊ポストで執筆中。今回は、華麗な技の数々で相撲ファンを魅了する宇良と、行事の式守勘太夫について尾崎氏が綴る。
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稀勢の里と鶴竜の二横綱、大関照ノ富士の休場で盛り上がりを失くしかけていた七月場所。プレゼントがボンと降ってきた。中日八日目、前頭四枚目の宇良と白鵬の対戦である。
立ち合いで変化したのは、意外にも白鵬の方だった。宇良の顔に右手をかざし、左へと回り込む。もぐろうとする宇良だが、白鵬は押し返す。左手を抱え込まれ右を差され、宇良は宙を舞った。私は大拍手をした。宇良の日々の活躍が、これはどうなるかわからんぞ、と思わせたのだから(一勝ずつが大相撲史を塗り変え続ける白鵬だ。小兵中の小兵・宇良への変化が相撲ファンをがっかりさせるとわかりきっているのに、それを選んだ白鵬の覚悟。どのように、どのくらい立派なのかを計る定規がもう存在しない)。
そして九日目、日馬富士の右腕を手繰り寄せ、とったりで初金星。スピードが身上の日馬富士に「速くてついて行けなかった。そろそろ時代が変わる時かも」と言わしめた。