第99回全国高校野球選手権大会(夏の甲子園)での爽やかな球児の姿とは対照的に、この一大イベントは大金の動くビッグビジネスでもある。甲子園は学校経営者にとっても一大ビジネスチャンスだ。
「定員割れだった九州の私立校では、甲子園出場を機に入学希望者が翌年から4倍に跳ね上がった」(全国紙記者)ケースもある。そのため有望選手の囲い込みや野球留学はいくら批判されても止まらない。
2012年に「野球特待生」を各学年5人までとする制度が導入され、有望な中学生を選抜する「セレクション」も禁止されたが、その規制はすでに形骸化している。
2年連続3回目の出場を果たした秀岳館(熊本)は昨年同様、1回戦のスタメン9人に県内出身者は1人もいなかった。他にも盛岡大付(岩手)、花咲徳栄(埼玉)、大阪桐蔭(大阪)、明徳義塾(高知)など、レギュラーの大半が県外出身というチームは多い。
「目をつけた選手を“成績優秀”や“経済的理由”として受け入れれば5人枠に数える必要はない。抜け道はいくらでもある」(在阪高校の野球部監督)
有力校は元プロ野球選手やリトルリーグ関係者と「スカウト」や「コーチ」などと称して非常勤で契約を結び、有望選手の狩り集めに動員する。高野連は“ブローカー”を介した斡旋入学を禁止しているが、高校に所属していればスカウト行為は禁止されないからだ。
「“スカウト”たちの報酬は月給制もあれば、入学者1人につき35万~50万円という歩合制もある。やっていることは“ブローカー”と変わりない」(同前)
※週刊ポスト2017年9月1日号