近頃、突然のゲリラ豪雨など、天候が激しく変化することも多い。もしも、子供が野外で遊んでいるときに、天候が変わったら…と心配する保護者も少なくないだろう。そこで、過去に地下鉄サリン事件時の救助救急活動、東日本大震災時の救助にも携わった元・東京消防庁の大隊長で、救急救命士の安岡裕二さんに、注意すべき点を教えてもらった。
突然の降雨で、子供がとくに注意しなければならないのが、「低体温(※偶発性低体温症)」だ。
※偶発性低体温症とは、「一次性低体温症」ともいい、純粋に寒冷などを原因として中心体温が35℃以下に低下した病態。ほか内科疾患、薬物作用などで発症する「二次性低体温症」などがある。
「“低体温症”と聞くと、水難事故や厳冬期のトラブルと思われがちですが、実は降雨や汗が原因でも起こりうる、身近な危険トラブルの1つです。急な雨で濡れたままの状態でいると、とくに子供は低体温症を起こしやすくなります。“濡れたら着替える”が鉄則。まず低体温となる環境から離脱することが大切です」(安岡さん、以下同)
低体温症とは人体深部の体温が35℃以下になった状態のこと。その低下の度合いによって、軽度(35~32℃)、中等度(32~28℃)、高度(28℃以下)に分類される。
「もし海水浴後や雨に濡れて、全身が震えて顔面が蒼白になるなど低体温症の疑いがあったら、子供の様子をよく観察し体温を測ってみてください。意識がはっきりしていて軽度の症状なら、濡れた服を着替えさせてブランケットに包み、温かい飲み物を飲ませます。ただし急激に体を温めたり、急いでドリンクをがぶ飲みさせたりすると、ショック症状を起こすこともあるので危険。必ず、ゆっくりと、少しずつ飲ませてください」
また「季節、気候に適応する衣服も重要」と安岡さん。
「野外ではウエアも生死を分ける大きな要因となります。濡れたときのために着替えは多めに用意し、防水透湿性の高い雨具や、速乾性のある下着を身につけるなど、値段が高くても質のよい素材のウエアを選ぶことをおすすめします(登山店などで相談を)」
※女性セブン2017年9月7日号