言わずと知れた松山千春(61)の代表曲「大空と大地の中で」。これを本人の生歌で、「大空」へ向かう前に聞くことができたラッキーな乗客たちがいる。
8月20日、新千歳空港発伊丹空港行の全日空航空機が保安検査場の混雑で待機していたところ、たまたま地元の北海道から仕事で大阪へ向かうために乗り合わせていた松山千春が、客室乗務員から機内用マイクを借りて歌い出したのだ。このサプライズに大喜びした乗客たちはその模様をネットに上げ、瞬く間に大きな話題となった。
しかし実はこの即席コンサート、航空業界では「きわめて異例」なのだという。松山から「歌いましょうか」という提案を受けた客室乗務員は機長に伝達、機長は許可を出したが、これは前例のない“英断”だったようだ。同機を運航していた全日空広報部が言う。
「明確な規定はありませんが、通常、マイクを乗客の方に渡すことはあり得ません。(ハイジャックなど)危険な行為を呼びかけたりする可能性もあるからです。ただし今回は松山様のご厚意に甘える形でマイクをお貸ししました」
しかし同様の“イベント”を、過去に堂々とやってのけた大物歌手がいた。“演歌の神様”北島三郎(80)である。
北島が「機内コンサート」を行なったのは1985年8月。アジア旅行開発(現在のJAL系列)が、成田発台北行きのフライトで、「一万メートル上空の機内ライブ・コンサート」を企画し、北島が山本譲二ら演歌歌手5人と生バンドも連れて約2時間熱唱したのだ。
19万8000円のプレミアチケットを手に入れた約60人のファンは大盛り上がりだったという。まさに空の上の「まつり」である。
北島と松山といえば、北海道が生んだ二大スター。もしかしたら松山は、大先輩の過去の偉業を知っていた?
※週刊ポスト2017年9月8日号