チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が健康不良のため、アフリカのボツワナ訪問を直前になって急遽とりやめた。現在82歳のダライ・ラマは2015年10月、米国訪問をキャンセルしたことがあり、その際も、「医師に休養を勧められた」ことを理由にしているが、実は膀胱がんが見つかり、直前に訪問を取り消したことが分かっている。このため、今回の場合も、がんが再発したとの見方が出ている。
ダライ・ラマは8月15日から20日までボツワナの首都、ハボローネを訪れ、「心と生命」と題する会議に出席するほか、講演などを行う予定だった。しかし、「極度の疲労」のため、医師から「今後、数週間は長距離の移動を控え、休養をとった方がよい」と診断されたため、82歳という高齢も考慮に入れて、インドの邸宅で休養することを決めたという。
ダライ・ラマ事務所は11日にダライ・ラマのボツワナ訪問中止をボツワナ政府に連絡した。
また、ダライ・ラマは17日、メッセージビデオで自らの訪問中止の釈明を行ったが、その表情は疲れ切り、目も落ちくぼみ、座っているのがやっという状態で、いつもの張りのある元気な声ではなくいまにも倒れそうな状態だった。
このため、ダライ・ラマの病状に関心が集まっており、米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」は「ダライ・ラマが外国訪問を直前でキャンセルするのは極めて異例。2015年10月以来で、がんが再発した可能性がある」と報じたうえで、中国政府もダライ・ラマの健康状態について強い関心を示しており、ダライ・ラマの輪廻転生の後継者探しの準備を本格化するのではないかと伝えている。