先祖の魂が帰ってくるといわれるお盆から10日間。この世に思いを残して去った人々の魂が今年も戻ってきたようです…。不思議な体験に身を震わせた52才主婦が、自らに降りかかった世にも恐ろしい物語を明かしてくれました。
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決して足を踏み入れてはいけない、そこには決して…。大学生になったばかりの長男は、あの場所に行ったことを今日も後悔しています。
それは今年のお盆休みのこと。車の免許をとったばかりの長男は、夫の車を借りて友人2人とドライブ旅行に出かけました。行き先を聞くと、青森にある日本有数の心霊スポットとのこと。
そんなところはやめた方がいいと、私は反対したのですが、長男は、「どうせ、心霊スポットといっても大したことはないよ」と軽口をたたいて、出かけていきました。
そこは昔、ある若い女性が男たちに車で連れ去られ、誰も通らないトンネルの中で、暴力と辱めを受け、それを苦にして、近くの神社で首を吊って自殺をした場所。その女性の幽霊が今も地縛霊となって現れる、というのです。
私も幽霊など信じるタイプではないので、さほど気にしてはいませんでしたが、旅行から帰ってきた息子の様子は、明らかに普通ではありませんでした。普段は明るく、何でも話すのに、帰ってきた日は無言で自分の部屋に入り、そのまま出てきませんでした。
そして翌日の朝、長男の部屋から「ぎゃー」という断末魔にも似た叫び声が聞こえてきたのです。
何があったのかと私たち夫婦は息子の部屋に行き、ドアをたたくと、中から真っ赤に顔がただれた長男が出てきたのです。そのまま倒れこんだ長男を、私たちは救急車で病院に連れて行きました。
熱が40℃近くあり、「顔が焼けるように熱い、熱い」と訴えます。しかし、医者に診てもらっても、その原因はわかりませんでした。
薬をもらい、夫が運転する車で自宅に帰る途中、長男は小さな声でこんなことを言い出しました。
「トンネルから帰るとき、おれたちの車に見知らぬ女が乗ってきたんだ。そして、その女は家にもついてきて、おれが寝るベッドの横にじっと立っていて、おれに、“私きれい?”と聞いてきて…」
長男がそのトンネルに行ったのは、今、私たちが乗っている車…。
私たちはすぐにお祓いをしてもらえるお寺を探し、そこへ向かいました。そして住職に事情を話すと、
「とんでもないところに行ったもんだ。ものすごい強い念が車から感じられる。今すぐ処分しなさい」
と、険しい顔をしながらも、祈祷をしてくれました。それから1週間、長男の顔の腫れはひき、熱も下がりましたが、今でも何かにつけて、「あんなところ行かなきゃよかった」 と、長男はおびえています。
※女性セブン2017年9月7日号