愛知県の男子学生がツイッターに書き込んだ投稿内容が差別的だとして、大学は学生を訓告処分にしたという。評論家の呉智英氏は、「大学の理念と内面の自由を認めない処分」として疑問を呈する。
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七月十九日付朝日新聞(名古屋本社版)が異様な事件を報じている。見出しは「男子学生 差別的投稿で『訓告』処分」。記者名は黄澈(こうてつ)とある(原文にルビはない。あるいは読みは「きい・きよし」かもしれない)。
記事によると、愛知淑徳大学の学生がツイッターに「朝鮮人を皆殺しにしろ」と書き込んだ。北朝鮮のミサイル発射の報に接し、実名で投稿したものである。
これを指摘する電話があり、大学が調査。学生が事実を認めたため「学則で定めた訓告〔処分〕とし、反省文の提出を求めること」にした。同大は「違いを共に生きる」を基本理念に掲げており、「深刻な問題と受け止めた」という。
確かに、別の意味で深刻な問題である。学生運動が盛んだった一九六〇年代・七〇年代だったら、こんな事件は起きなかった。
一九六〇年の「安保闘争」では、全学連が「岸(首相)を殺せ」と叫んでデモ行進したが、これによって処分された学生は日本中の大学で一人もいない。まして良心の自由を踏みにじる反省文強制など大学で起きるはずはなかった。