心肺停止2分内に心肺蘇生を行うと生存率はなんと約90%。3分内約50%。一方何もしない場合は1分ごとに生存率が下がり、3分後には約20%、15分後にほぼ0%。とくに子供は心肺蘇生後の回復率が高い。心肺蘇生がいかに重要かわかるだろう。
心肺蘇生の学習法は、まず手順の暗記。次に胸骨圧迫と人工呼吸の講習、AEDの使い方を学ぶ。学習する際は、自分の子供や大事な家族が心肺停止に陥ったケースを想定して行うとよい。1人でも多くの人を救えるよう真剣に学びたい。
心肺蘇生で最初に覚えるのが、以下に記す手順のマニュアル。「何度も復唱することが大事」と元・東京消防庁の大隊長、救急救命士安岡裕二さんは言う。
「講習経験のない人でも、手順を丸暗記するように頭に入れておくことが重要です。この暗記法は世界共通。知っている人と知らない人では、緊急時の判断力が変わります」
ここでは、日本蘇生協議会公表のガイドライン2015に基づく応急手当「心肺蘇生の手順」を紹介する。
【1】
倒れている人を見たら、まず二次災害のない安全な場所かどうかを確認。その後、倒れた人の肩をたたきながら声をかける。両肩を軽くたたいて「わかりますか?」と声をかける。ただし倒れている場所が崩壊など危険と判断した場合は処置を回避する。
【2】
反応がないと判断した場合、または反応があるかどうか迷った場合は直ちに大声で助けを求め、119番通報とAEDの搬送を依頼する。「誰か来てください! 人が倒れています。あなたは119番に通報してください。あなたはAEDを持ってきてください」と伝えましょう。
【3】
呼吸を確認する。あごを伸ばし、気道を確保して「普段通りの息」をしているかどうかを10秒以内で確認する。普段通りの呼吸が見られない場合、またはその判断に自信が持てない場合は、心肺停止と判断する。