「今年の夏は猛暑のおそれ」──そんな予想はどこへやら。想定外の冷夏に多くの業界から悲鳴があがっている。中でも、夏こそかき入れどきのアイス業界は、期待に反する天候にガックリ肩を落としているという。
「予想された8月の猛暑に備えて各メーカーとも限界まで増産し、それでも在庫不足を懸念していましたが、『取らぬ狸の皮算用』に終わりました」(アイスクリーム情報サイト『アイスクリームプレス』の二村英彰氏)
人気アイス「ガリガリ君」(赤城乳業)は8月の販売が前年比1割強も減少したため、工場の一部生産ラインを停止している。
だが泣く者あれば笑う者あり。同じ菓子業界でもホクホク顔のメーカーがあった。例年に比べて好調なのが「チョコレート」の売り上げだという。
「例年、チョコは猛暑で売れ行きが落ちるが、今年の売れ行きは好調です。9月には新商品の発売も控えているので、このまま残暑がなく秋が来てくれるとありがたい」(森永製菓コーポレートコミュニケーション部)
なぜ冷夏だとチョコレートが売れるのか。日本チョコレート・ココア協会事務局がこう解説する。
「チョコレートは28℃以上になると、カカオの油脂分が表面に溶け出してべとつき、食べにくくなったり味が悪くなったりする。今年の冷夏は、チョコレートを美味しく食べるのに最適な環境でした」
何事にもオモテがあればウラがある。“冷夏バブル”に沸いた面々とは──。