家族連れでにぎわう、夏休みの新潟県・鵜の浜海水浴場。海で遊んだ子どもたちが水着からポタポタとしずくを落としながら、宿の玄関に駆け込んでくる。
「ほらほら、砂はちゃんと落としてからお風呂に入ってね」
コメ女将(写真左)が世話を焼くと、番頭のココア(写真右)が、「冷えないよう温まるんだよ」と、露天風呂までご案内。共に白黒ブチの猫姉弟は9年ほど前から『美味海食 汐彩の湯みかく』で接客を担当している。
「私たちは宿の屋根裏で生まれたんですけど、壁とのすき間に落ちたりカラスに狙われたりしていて、ここの女将に助けてもらったんです」
それが生後1か月のとき。子猫のころから宿で育ち、いつの間にか“猫がいる温泉”として有名になった。
「女将からはお行儀を習いました。人間の食べ物には絶対に手を出さないとか、『待て』って言われたらその場から動かない、とか」
朝10時にチェックアウトのお見送りが終わると、あとはフリータイム。しかし、チェックインがはじまる夕方になると、呼ばなくても玄関にやってくるという。
「ときどき、露天風呂におじゃますると、みなさん喜んでくださるんですよ」
海と、温泉と、かわいい猫たち。最高の癒しがここにある。
日本海に面した鵜の浜温泉はJR信越本線「潟町駅」から徒歩10分。古くから人魚伝説があり、童話『赤い蝋燭と人魚』のモデルとなっている。
【プロフィール】
名前:コメ(♀)、ココア(♂)
年齢:9歳
種類:猫
勤務先:鵜の浜温泉 美味海食 汐彩の湯みかく
職種:女将(コメ)、番頭(ココア)
主な仕事内容:お客さまのお出迎えとお見送り。ときどきお遊び相手。
お給料:キャットフードとオヤツ。
好きなこと:ブラッシング(コメ)、食べること!(ココア)
嫌いなこと:大きな足音(コメ)、特になし(ココア)
現在の悩み:毎日楽しいし、みんな優しいし、悩みなんてないよ!
将来の夢:元気で長生き。ずっとこの宿で働きたいです。
撮影/山口規子
※女性セブン2017年9月7日号