これまで安倍政権を支持し、応援してきた保守論客たちの離反が始まっている。憲政史研究者の倉山満氏は5年前、「安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」発起人を務めていた。だがその倉山氏は、天皇の生前退位に関する決定について、問題があったと指摘する。
「退位された後の皇后陛下の呼称を『上皇后』としたのは重大な問題だと考えます。皇室は先例がすべてです。『皇太后』という呼称がすでにあるにもかかわらず、勝手に『上皇后』などという新たな呼称を作ったのは、皇室の伝統を破壊する行為に等しい。
安倍首相が皇室の伝統を軽視していることにほかならず、到底容認できるものではありません。これに限らず、政権復帰早々に財務省から消費税増税を飲まされたことを見ても、結局、官僚に屈服しているのではないか。
いまになって振り返れば、安倍首相は何をしてきたのでしょう。あれもこれもと手を出しながら、すべて中途半端に終わっている。『民主党政権よりまし』と、ごまかしてきただけだと思います」
撮影/雑誌協会代表取材
※週刊ポスト2017年9月8日号