金融行政改革の豪腕で知られる森信親・金融庁長官(60)が振るった大ナタに、注目が集まっている。森長官率いる金融庁は、金融機関の不良債権を厳しくチェックしてきた「検査局」を来年夏までに廃止し、監督局に統合する方針を固めた。
「不良債権処理を迫る検査局は『金融処分庁』と言われた古い体制の象徴。それを廃止し、金融機関との対話を重んじていく方針に変えていくというのは、まさに森改革の集大成です」(金融ジャーナリストの浪川攻氏)
検査局には、もう一つの隠された歴史がある。検査局の前身は、1998年の「ノーパンしゃぶしゃぶ接待事件」に関わった旧大蔵省の金融検査部だ。金融検査部の官僚らが、本来チェックする対象であるはずの大手銀行から接待を受け、情報を渡していたこの事件は、金融検査部官僚2人が収賄容疑で逮捕されるなど、一大スキャンダルへと発展した。
その際、検査部への批判が噴出したため、検査部が金融庁に移管され、2001年に検査局になったいきさつがある。
実は森長官も、この事件に関わっていた。当時大蔵省にいた森氏は事件の際、検査部ではなかったものの銀行から供応接待を受けたとして戒告処分を食らっていた。
「森長官は、ノーパンしゃぶしゃぶの影が残り、自身の“黒歴史”にも関わる検査局を潰したかったのではないかと噂する人もいる」(金融庁関係者)