これまで安倍政権を支持し、応援してきた保守論客たちの離反が始まっている。経済評論家の三橋貴明氏は、今から5年前、安倍氏の総裁選出馬に際し、自身のブログで「自民党総裁選挙において正しいデフレ対策を明示された安倍晋三元総理を断固支持します!」と宣言していた。だが今、アベノミクスの成果には厳しい評価を下している。
「アベノミクスの3本の矢は金融緩和、財政拡大、成長戦略の3つでした。第一の金融緩和については、日銀はすでに330兆円もの日本円を発行しましたが、現実にはデフレから脱却はできていない。
第二の財政拡大についてはまったくのウソです。財政政策というのは財政を拡大して景気を刺激するという政策ですが、実際に安倍政権がやってきたのは、2013年6月に閣議決定した『骨太の方針』に従う緊縮財政です。これで景気がよくなるはずはありません。第三の成長戦略も欺瞞です。実際にやっていたのは成長戦略ではなく構造改革でした。構造改革はデフレを促進します。
つまり、安倍政権はデフレ脱却を唱えながら、実際にやっていたのは正反対のデフレ促進だった。『規制緩和』『自由貿易』『緊縮財政』の3つを私はグローバリズムのトリニティ(三位一体)と称していますが、彼は日本のためのアベノミクスを標榜しながらグローバリズムを推進してきた。こんな政策を行なっている総理が『保守』なのか、はなはだ疑問です」
※週刊ポスト2017年9月8日号