ビジネス

老人も働け!時代、孫世代の若者に使われ精神的にもキツい

北九州市には全国初となるシニア・ハローワークも開設された(写真:共同通信社)

 年金支給開始を75歳からに引き上げることを政府が検討をし始めたといわれる。そうなれば多くの50代、60代が資金計画の変更を余儀なくされる。35年ローンでマイホームを買ったものの、当初の想定は瓦解する。年金収入をあてにしていただけに、資金がショートし、現金を蓄えようと自宅を売却しようとしても、借金が残るから売るに売れず、仕方なく定年後も高額の住宅ローンを払い続け、身動きがとれないうちに退職金も底を突いて、年金支給前に生活保護を受けないと暮らしていけなくなる。そんな世帯がたくさん生まれることが容易に想像できる。

 それを防ぐには、政府がいうように74歳まで働き続けるしかない。しかし、再雇用は同じ仕事でも収入が現役時代の4~6割に減るうえ、同じ企業での再雇用が難しくなる65歳以上になるとアルバイトなどで糊口をしのがなければならないケースが増える。

 体力的にもフルタイムで働くことには限界がある年齢にもかかわらず、標準モデルの年金額である月額22万円を稼ぐには仕事の掛け持ちや残業が必要になるのだ。今年ちょうど75歳を迎えた元会社顧問が語る。

「勝ち逃げ世代といわれる私たちの世代でも、年金には不公平がある。われわれは給与が一定以上を超えると年金が減額されるが、半年前に生まれた先輩は、私と同じ給料をもらっても年金の減額はされなかったから年間200万円も年金額に差があった。

 それがこの先、年金が75歳支給になるという報道を見て気の毒で仕方がない。後輩たちは年金が65歳支給になったことで、定年後も嘱託などで会社に残り、子供のような世代にアゴで使われるのがつらいと言っている。それが75歳まで働かされると、孫の世代の若者に使われる。現場作業は無理だし、事務職も物忘れや老眼がひどくなる。肉体的にも精神的にも無理だと思う」

※週刊ポスト2017年9月8日号

関連キーワード

トピックス

第2次石破内閣でデジタル兼内閣府政務官に就任した岸信千世政務官(時事通信フォト)
《入籍して激怒された》最強の世襲議員・岸信千世氏が「年上のバリキャリ美人妻」と極秘婚で地元後援会が「報告ない」と絶句
NEWSポストセブン
モテ男だった火野正平さん(時事通信フォト)
【火野正平さん逝去】4年前「不倫の作法」を尋ねた記者に「それ俺に聞くの!?」 その場にいた娘たちは爆笑した
週刊ポスト
「●」について語った渡邊渚アナ
【大好評エッセイ連載第2回】元フジテレビ渡邊渚アナが明かす「恋も宇宙も一緒だな~と思ったりした出来事」
NEWSポストセブン
多くのドラマや映画で活躍する俳優の菅田将暉
菅田将暉の七光りやコネではない!「けんと」「新樹」弟2人が快進撃を見せる必然
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さま(時事通信フォト)
百合子さま逝去で“三笠宮家当主”をめぐる議論再燃か 喪主を務める彬子さまと母・信子さまと間には深い溝
女性セブン
氷川きよしが紅白に出場するのは24回目(産経新聞社)
「胸中の先生と常に一緒なのです」氷川きよしが初めて告白した“幼少期のいじめ体験”と“池田大作氏一周忌への思い”
女性セブン
阪神西宮駅前の演説もすさまじい人だかりだった(11月4日)
「立花さんのYouTubeでテレビのウソがわかった」「メディアは一切信用しない」兵庫県知事選、斎藤元彦氏の応援団に“1か月密着取材” 見えてきた勝利の背景
週刊ポスト
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
「SUNTORYドリンクスマイルBAR」
《忘年会シーズンにこそ適正飲酒を》サントリーの新たな取り組み 自分に合った “飲み“の楽しさの発見につながる「ドリンク スマイル」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
「週刊ポスト」本日発売! 小沢一郎が吠えた「最後の政権交代を実現する」ほか
NEWSポストセブン