「一線は越えていない」の“名言い訳”は、今回は通用しなかった。元SPEEDの今井絵理子参議院議員(33才)との不倫疑惑が報じられた橋本健神戸市議(37才)が8月29日、議員辞職した。不倫がバレたからではなく、「政務活動費」を詐取したという新疑惑が発覚したからだ。
「全国自治体の議員には、給与とは別に、税金から『政務活動(調査)費』が支払われます。たとえば、東京都議は月々60万円、神戸市議は38万円とけっこう高額で、議員の“第2の財布”と呼ばれます。政治活動だけに使われるもので、使い切れなければ『返還』しなければなりません。でも、“せっかくならもらっておこう”と、領収書を偽造するなどして受け取るなどの不正が後を絶たないんです」(政治ジャーナリスト)
橋本氏はこの政務活動費を、2010年からの4年間で「市政報告チラシの印刷」の名目で計720万円受け取っていた。だが、印刷業者が「印刷せずに領収書を渡しただけ」と暴露したため、「税金の詐欺ではないか」と追及されたのだ。
「3年前、“号泣絶叫会見”で有名になった元兵庫県議の野々村竜太郎氏も同じです。1年間に200回近く日帰り出張したと嘘をついて政務活動費を受け取り、詐欺罪で有罪判決を受けました。今後、橋本氏のケースも事件になる可能性が高い」(前出・政治ジャーナリスト)
私たちの税金がいとも簡単に議員たちのフトコロに消えていく手口を、ある地方議員OBがこっそり解説する。
「印刷費の不正が多いのは、1回の支払額が大きくても自然なので、処理が楽だからです。白紙の領収書に金額を自分で書き込んで請求したり、領収書を偽造する手口は昔からあります。印刷業者を調べれば簡単にバレる手口ですが、議会もノーチェックだし、そもそも領収書さえ市民に公開していない自治体も多いので、めったにバレません。
野々村氏のような交通費の請求は、領収書がいらないので簡単。ただ、1回の金額は小さいし、やりすぎると実際のスケジュールと辻褄が合わなくなって焦ります(苦笑)。ガソリン代も領収書不要なのでやりやすい。1年で地球半周分を請求した猛者もいます。怪しいですが、走っていないという証明が難しい分、言い逃れしやすい。郵便代として切手を大量に購入して、後で換金する方法もあります。コンピューター代としてマッサージチェアを買って、自分で使ってから転売した議員も知っています」
どう悔やんでも、今回はグレーではなく完全に一線を越えてしまった。
※女性セブン2017年9月14日号