ライフ

【泣ける怪談】僕が愛されるはずだったのに…胎児に取り憑く

胎児に取り憑いた霊が死を招き…(イラスト/上村恭子)

 無垢な魂は動物にだけでなく、幼い子供の霊にも宿る。一途ゆえにその執着は強く、その思いは時として、凶器にもなりえると、除霊師の伽羅さんは言う。ここでは伽羅さんが、霊たちが遺した“最期の愛”を報告する。

 * * *
 私は数多くの霊と対峙してきましたが、あの少年の霊は、いまだに忘れられません。私のところに相談に訪れた女性は、30代というには老けていて、40代後半のようにも見えました。それだけ苦労を重ねてきたようで、幼い頃から病気がちで、友人もできなかったといいます。

 ようやくできた彼と、22才の時に結婚を約束。ところが式の直前に彼が事故死。その後10年間、悲しみを引きずったものの、3年前に再び伴侶を得たそうです。しかしその彼も、半年前にがんを患い、若くして亡くなったそうです。2人の大切な人を亡くし、生きる希望がなくなった彼女は、手招きする少年の幻を見るようになったというのです。

 私が彼女を霊視すると、5才くらいの少年が、彼女にとり憑いていました。

「これは強い悪霊だ」

 少年からは禍々しい気を感じ、すぐに除霊をしないと、女性が危険だと感じました。私はまず少年の霊に、彼女にいつからとり憑いているのか尋ねました。とり憑いている年月が長いほど、影響力が大きいからです。

「20代の時から?」

 首を振る少年の霊。

「10代?」「小学生の頃?」「幼稚園?」「赤ちゃん?」

 それでも首をふる少年の霊。

「まさか生まれる前から?」

 そう尋ねると、ニヤリと笑うのです。胎児にとり憑く霊は初めてでした。そこで私は、彼女の母親に目を向けました。調べてみると、母親には5才の頃に事故で亡くなった、幼馴染の少年がいたことがわかりました。

 少年は彼女の母親をとても好きだったのです。彼女の母親が成長し、結婚し、子供をなすまでは、母親の側にいて、とり憑く隙を狙っていたのですが、それができなかったので、胎児にとり憑くことで、“自分を愛してもらおう”と思ったのです。しかし愛されるのは、あくまで生まれてきた“女の子”。彼ではありません。そこから憎しみがつのり、悪業が始まったのです。

 私は少年の霊に、

「彼女を不幸にしたのはお前か?」

 と尋ねました。すると、「そうだ」と返事が…。それで私はすぐに除霊をしました。

 これで女性は幸せになれると思ったのですが、除霊を終えた彼女は泣きながら言うのです。「半身がなくなったみたいで、寂しい」と…。

 生まれた時から30年以上一緒にいた霊。たとえ悪霊でも、長い時を共に過ごすと、とり憑かれた人は、自分の片割れのように霊に愛着を持つことがあるのです。

 霊の一途すぎる思いは、こういった悲劇も生むのです。

※女性セブン2017年9月14日号

関連記事

トピックス

太田房江・自民党参院副幹事長に“選挙買収”工作疑惑(時事通信フォト)
【激震スクープ】太田房江・自民党参院副幹事長に“選挙買収”工作疑惑 大阪府下の元市議会議長が証言「“500万円を渡す”と言われ、後に20万円受け取った」
週刊ポスト
2024年5月韓国人ブローカー2人による組織的な売春斡旋の実態が明らかに
韓国ブローカーが日本女性を売買春サイト『列島の少女たち』で大規模斡旋「“清純”“従順”で人気が高い」「半年で80人以上、有名セクシー女優も」《韓国紙が哀れみ》
NEWSポストセブン
村上信五とマツコ・デラックス
《不適切編集謝罪も街頭インタビュー継続》『月曜から夜ふかし』は存続できるのか? 問われる根本的な問題「一般人を笑い者にする演出」「笑いの手数を追求するスタッフのプレッシャー」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【国立大に通う“リケジョ”も逮捕】「薬物入りクリームを塗られ…」小西木菜容疑者(21)が告訴した“驚愕の性パーティー” 〈レーサム創業者・田中剛容疑者、奥本美穂容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
国技館
「溜席の着物美人」が相撲ブームで変わりゆく観戦風景をどう見るか語った 「贔屓力士の応援ではなく、勝った力士への拍手を」「相撲観戦には着物姿が一番相応しい」
NEWSポストセブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者と職業不詳・奥本美穂容疑者(32)が逮捕された(左・Instagramより)
【20歳の女子大生を15時間300万円で…】男1人に美女が複数…「レーサム」元会長の“薬漬けパーティ”の実態 ラグジュアリーホテルに呼び出され「裸になれ」 〈田中剛、奥本美穂両容疑者に続き3人目逮捕〉
NEWSポストセブン
前田亜季と2歳年上の姉・前田愛
《日曜劇場『キャスター』出演》不惑を迎える“元チャイドル”前田亜季が姉・前田愛と「会う度にケンカ」の不仲だった過去
NEWSポストセブン
フィリピン人女性監督が描いた「日本人の孤独死」、主演はリリー・フランキー(©︎「Diamonds in the Sand」Film Partners)
なぜ「孤独死」は日本で起こるのか? フィリピン人女性監督が問いかける日本人的な「仕事中心の価値観」
NEWSポストセブン
timelesz加入後、爆発的な人気を誇る寺西拓人
「ミュージカルの王子様なのです」timelesz・寺西拓人の魅力とこれまでの歩み 山田美保子さんが“追い続けた12年”を振り返る
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《私が撮られてしまい…》永野芽郁がドラマ『キャスター』打ち上げで“自虐スピーチ”、自ら会場を和ませる一幕も【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
電撃引退を発表した西内まりや(時事通信)
電撃引退の西内まりや、直前の「地上波復帰CMオファー」も断っていた…「身内のトラブル」で身を引いた「強烈な覚悟」
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
「週刊ポスト」本日発売! 自民激震!太田房江・参院副幹事長の重大疑惑ほか
NEWSポストセブン