刻一刻と迫る「年金75歳支給時代」が到来すれば、老後の人生設計はすべて白紙に戻ってしまう。本誌・週刊ポスト9月8日号では『家計の見直し相談センター』代表でファイナンシャルプランナーの藤川太氏の指摘をもとに、「年金75歳時代では貯金5000万円でも足りない」という試算を紹介した。
では、どうするべきか。政府の「働き方改革」に白旗を揚げるようで癪とはいえ、現実的な対策としてはやはり「できるだけ長く働き続けて収入を確保すること」を考えるしかない。
しかし、政府が「死ぬまで働け」と呼びかけるのと裏腹に、定年退職後に高齢者が望みの働き口を得るための環境は整っていない。そうした状況の中で、これから老後を迎える中高年の危機感は募る一方だ。
その時代を反映してか、発売即重版のベストセラーとなっている書籍がある。元ソニー常務取締役で、82歳の今も現役ビジネスマンとして働く郡山史郎氏が著わした『九十歳まで働く!』だ。郡山氏は子会社のソニーPCLの会長、ソニー顧問などを歴任した後、プロ経営幹部の紹介を主業務とする株式会社CEAFOM(シーフォーム)の社長に就任。多くの高齢者の再就職に関わってきた。
書名のポジティブさとは裏腹に、記されている内容は非常に厳しく現実的だ。郡山氏がいう。