今、講談が面白い。若手ホープが新風を巻き起こし、会場には女性客も増えているという。「聴くならこの人!」という個性豊かな女性講談師を3人紹介しよう。
●田辺鶴瑛(たなべかくえい)
田辺鶴瑛といえば、「介護講談」である。2007年から認知症の義父を介護する様を「講談」にして洗い浚いさらけ出した。
「介護はきれいごとではやれない。本音をさらけ出し、時には反省し、相手との関係を認め合うことで介護は楽しくなる。『おまえなんか、死んでしまえ』と吐き出して『ごめん、言い過ぎた』っていう方が気持ちよく介護できる。こういう話を聞くと、介護をしている人は、気持ちがラクになるんですよ」
介護講談は評判を呼んで全国から声がかかり、2016年には映画にもなった。先々で高齢者や介護者から共感の握手を求められたのが嬉しかったと鶴瑛は語る。今後、講談にしたいのは日米地位協定や見えない世界の話。またまた大きな反響を呼びそうだ。
【プロフィール】北海道生まれ。1990年11月、田辺一鶴に入門。2003年に真打昇進。