【著者に訊け】林真理子さん/『美女は飽きない』/マガジンハウス/1296円
【本の内容】
『an・an』の人気連載『美女入門』の第15弾。2015年6月~2016年8月に掲載されたエッセイがまとめられている。通称チョロランマこと、自宅のクローゼットを片づけた話から、ダイエットやおしゃれ、SMAPやベッキーの騒動、初めてのLINEまで60編。笑ったり驚いたりため息をついたり、林さんのめくるめく日常と激動の時代を体感でき、読めばエネルギーがわいてくる。
女性週刊誌『an・an』の人気連載。現在のタイトルになってから20年以上、その前から数えると30年以上続いている。
「毎週、ネタを探すのが大変なんです。『西郷どん』(来年のNHK大河ドラマ原作の歴史小説)を書いていても毎週木曜日の締切が来ると、若い女の子向けの思考に切り替えないといけないし、そこからまた幕末に戻るのに時間がかかりましたね」
小説とエッセイ執筆、長く続く週刊誌の対談などの合間を縫って、話題のレストランやお芝居に足を運び、女友達と海外旅行にも行く。アクティブさは健在だ。
「東京に生きてる楽しさが伝わるようにしたいと身を削ってます。バーゲン行かなきゃ、とか、あの映画観なきゃ、とか思うのも、この連載があるせい。連載をやってないと、ただの初老のおばさんになっちゃうかも(笑い)。お店で親切にしてもらえるのもこの連載のおかげだし、大変ですけど、楽しんでます」
原稿は、今も手書き。週刊誌の対談と会食の間にタクシーを飛ばしてマガジンハウスへ行き、数十分で原稿を書くこともある。ちなみに、イラストを先に書いてから、原稿を書くのだとか。
最新刊の『美女は飽きない』で林さんが紹介した、モテを引き寄せる「招き恋猫」シールはブームになった。
「その後もみんなから『ください』って言われました。友人の中園ミホさんにあげたら、大変なことになって。魔性の女に魔力を与えた私がいけなかった…」
独身の友人に頼まれると、これはと思う異性を紹介する林さんのもとには、ウエイティング・リストができているらしい。
フットワーク軽く、新しいダイエットや美容法を次々に試し、興味をひかれて禅堂にも通ってみる。そうしたなかから「デコルテは女のカラダの生地見本」「ヘルスメーターは人格を持っている」など数々の名言が生まれていく。豪快なお金の使いっぷりは、「マリコノミクス」と呼ばれることも。
「経済を回すと言っても私の稼ぎだから大したことはないけど。ただ、ほんとに貯金はできないですね」
(取材・文/佐久間文子)
※女性セブン2017年9月21日号