野球のU-18ワールドカップの開催地であるカナダ・オンタリオ州サンダーベイには、まさしく雷鳴の如き黄色い声援が飛んでいた。
「キヨミヤあ~、一発、タノムよお~!!」
「初球よ、初球! 初球を狙い打て~!」
五大湖のひとつ、スペリオル湖畔の田舎町は、日本人が訪れるような観光地ではない。わざわざ高校日本代表を応援しにくるファンも少なく、それゆえ息子のプレーに熱狂し、一喜一憂する彼女たち──サムライ戦士の母親たちの姿が余計に目立っていた。
2年に一度開催されるU-18W杯に、日本は甲子園で活躍した球児を中心とした高校日本代表を送り込んでいる。
今年は怪物・清宮幸太郎(早稲田実業)が主将を務め、夏の甲子園で、清原和博が保持していた1大会の本塁打記録「5」を「6」に更新した広陵・中村奨成も選出。
さらに清宮と並ぶ左の大砲として将来が期待される履正社の安田尚憲や、選抜決勝で2本塁打を放った大阪桐蔭の藤原恭大と報徳学園の小園海斗の2年生コンビもいて、悲願の世界一に向け役者は揃っていた。
サムライの母親たちは、予選リーグの初戦から日本ベンチ側のスタンドに陣取り、大同団結していた。