ライフ

高額ながんの粒子線治療 エビデンスに疑問がある状態続く

超高額なのにエビデンスがない治療も

「これだけ高額な最先端の治療だから、効果があるに決まっている」──残念ながらそれは患者側の思い込みだ。現実には高額なわりに成果が望めない、「コスパの悪い」手術が多数存在している。

 がん治療の切り札のように取り上げられることも多い重粒子線や陽子線などの「粒子線治療」。治療費は超高額で、「費用は照射回数によらず1回300万円前後。全額自己負担です。注意したいのは、全国に陽子線施設は12か所、重粒子線施設は5か所しかないため、遠方から受けにいくと交通費・滞在費の負担も大きくなる」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)のが特徴だ。加速器で、重粒子や陽子を光速に近い速度まで加速し、がん細胞にぶつけて破壊するという治療法である。

 一般の放射線治療ではがん細胞以外の身体の部分に放射線が当たってしまうのに対し、粒子線治療ではピンポイントでがん細胞を狙えるので、副作用が小さいとされる。重粒子線と陽子線では、基本的な仕組みは同じだが、がん細胞を破壊するパワーに違いがあり、陽子線はパワーが小さい分、照射回数が多くなる。

 ところが、2015年の8月に厚労省の先進医療会議で、日本放射線腫瘍学会から一般の手術や放射線治療との差は認められないという報告が出され、エビデンスに疑問がある状態が続いている。がん治療に詳しい岡田正彦・新潟大学名誉教授(内科医)がいう。

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン