ライフ

「人格者」とされる西郷隆盛「若い頃は度量狭い頑固者」

上野公園の西郷隆盛銅像(昭和初期) 共同通信社

 西郷隆盛の人物像といえば、「度量が非常に大きく、仁愛に富んだ類い希な人格者だった」「栄達を極めたにもかかわらず、清廉潔白な人柄だった」といったイメージが一般的だ。

 一方で、「豪傑肌ではあったが、度量が狭かったため敵も多かった」「血気にはやるあまり、協調性に欠ける頑固者だった」といった人物評が、若い頃からの西郷を知っている同郷の薩摩藩士・重野安繹らの証言として残されてもいる。

 その相反する人物像はすべて真実であると語るのは『西郷隆盛伝説の虚実』の著書がある歴史家の安藤優一郎氏だ。

「現在、一般的に知られる人格者としての西郷像は、没後にまとめられた『南洲翁遺訓』によるところが大きい。しかし、それはあくまでも晩年の西郷なのです」

 重野らの西郷評は、若い頃の姿を伝えているという。

「若い頃から江戸や京都で活躍していた西郷が、鹿児島を出たことがない主筋の島津久光を“地ゴロ”(薩摩で田舎者を意味する蔑称)と呼んだと伝える史料もある。血気盛んで、能力は高いが周りに対して厳しい、度量の狭い男だったんです。

 現在知られる人格者としての西郷は、激動の時代の中、紆余曲折を経て人間的に成長した後の姿。最初から完全無欠の英雄だったのではなく、人間らしい弱さをも合わせ持つ人物だったのです」(安藤氏)

◆取材・構成/浅野修三(HEW)

※SAPIO2017年10月号

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン