「これだけ高額な最先端の治療だから、効果があるに決まっている」──残念ながらそれは患者側の思い込みだ。現実には高額なわりに成果が望めない、「コスパの悪い」手術が存在している。
かつて故・川島なお美さんが、肝内胆管がんの治療で腹腔鏡手術を選んだことが話題になった。
開腹せずに腹部に小さな内視鏡を入れて行なうこの手術の費用自体は20万円程度だが、除去しきれずに再発する可能性が高いため、手術の費用は膨れ上がることが多い。しかもその効果について専門医からは疑問の声が上がる。消化器外科が専門で足尾双愛病院・元副院長の篠田徳三医師はこういう。
「肝内胆管がんは肝臓の中のほうにあるので、開腹手術でもアプローチがかなり難しく、腹腔鏡手術でやるとすれば、難易度は間違いなく高い。さらに、がんのステージが高く、あちこちに転移しているとなれば、手術自体が有効とはいえず、抗がん剤などの化学療法や焼灼療法、放射線照射を選ぶのが普通です」
患者本人が抗がん剤治療を拒否し、腹腔鏡手術を強く望むケースが多いといわれるが、あえて難易度の高い治療法を選べば、失敗のリスクは当然高まる。
川島さんも術後2年以内に再発して亡くなっている。
※週刊ポスト2017年9月22日号