石川県七尾市の老舗旅館『加賀屋』では、シングルマザーを戦力として雇用し、手厚くサポートしている。今年創業111年を数え、かつて昭和天皇が宿泊された超名門旅館は、シングルマザーの採用企業としての顔を持っていたのだ。
「子育て世代の女性は体力と社会経験の両方があり、お客様に高いレベルのサービスを提供できる。真摯に他人のことを考えられる人たちでもある。仕事に非常に真剣で強くたくましい」
かつて社長がインタビューで答えたこの言葉通り、加賀屋にとって、シングルマザーは貴重な戦力。彼女たちが安心して働ける環境を整えれば、さらに丁寧なおもてなしができると考え、1986年、旅館の至近に8階建ての保育園付き母子寮『カンガルーハウス』が建設された。
多いときは80人以上の子供たちがここで育ち、現在もシングルマザーたちが加賀屋で働きながら、母子寮で子供と暮らしている。
勤続9年目の40代シングルマザー、百々江さんもそのひとり。遠方の福島県から当時1才の娘を抱えて、この地へとやってきた。
「子供が熱を出した場合は内線で直接連絡をもらえて、すぐに駆けつけられる。こんな職場はほかにないですよ。出社は朝6時ですが、子供の食事はカンガルーハウスが面倒を見てくれます。子供を学校に送り出してくれるので、安心して働きに出られます」(百々江さん)
現在、ネット上にはシングルマザー専用の就職支援サイトも登場しており、全国の求人情報が簡単にチェックできる。正社員待遇の案件も多数あり、企業がいかにシングルマザーを求めているかの証左といえよう。
※女性セブン2017年9月28日号