盛岡市でもっとも古い造り酒屋『菊の司』。夕方になると、そのお向かいの酒店からにぎやかな話し声が聞こえてくる。店内から出て来たのは、赤い首輪がよく似合う黒猫。
「うちの別名は“平興学校”。昭和18年から“角打ち”をやっているんだけど、ここでみんなと話すのが人生勉強になるんだって。さぁ、入って!」
黒猫のミミは、近所では知らない人がいない名物猫。
「ボクは2代目のミミ。先代のミミにそっくりだったから、名前を受け継いだんだよ」
初代ミミが交通事故に遭ったことから、飛び出し防止のため長いリードを着用している。
「常連さんがほとんどだけど、旅行で来た人がふらりと立ち寄ってくれることも多いよ」
午前9時半から営業しているため、「盛岡駅周辺で昼間から飲める店」として紹介されることもあるという。
「インターネットでボクのことを紹介してくれる人がたくさんいるみたいで、『ミミちゃんは人気者だから』って取材を受けることもあるんだ」
ミミが「お母さん」と呼ぶ平井美根子さんは、ミミだけでなくみんなの“お母さん”。
「お母さんは『ミミを跡取り息子にできたらいいのに』って言うけど、さすがにそれは無理かな(笑い)。でも、お母さんが元気で頑張れるように、孝行息子するよ!」
【プロフィール】
名前:ミミ ♂
年齢:4歳(推定)
種類:猫
勤務先:平興酒店
職種:広報部長・接客係
主な仕事内容:毎日お店でお客さまにごあいさつ。一杯飲んで行く人のお相手。
お給料:お父さんがミミのために買ってくる、ちらし寿司のお刺し身。
好きなこと:お母さんが配達や買い物に行くときの車に乗せてもらうこと。リードをつけてのお散歩。
嫌いなこと:抱っこされるのはあんまり好きじゃない…。
現在の悩み:みんなにかわいがってもらって幸せだから、悩みなし!
将来の夢:あと10年は、お母さんと一緒にお店をやりたいなぁ。
撮影/山口規子
※女性セブン2017年9月28日号