『字が汚い!』(文藝春秋刊)という直球タイトルの書籍がベストセラーとなっている。汚文字に悩む著者・新保信長さんが美文字を書こうと悪戦苦闘する様を描いたもので、同じように汚文字に悩む多くの読者の心に刺さったらしい。
新保さんが『ゴロウ・デラックス』(6月15日放送・TBS系)にゲスト出演した際には、MCの稲垣吾郎(43才)も「字が汚いことがコンプレックス」とカミングアウトして話題になった。
この“汚文字(おもじ)ブーム”に驚いたのが、通訳でタレントのニュージーランド人女性、ジェシカ・ゲリティさん(38才)だ。
「アルファベット圏の人は文字は個性だと思っているから、美醜は気にしない。書き順や字の間隔も気にする人はいない。要は読めればいいという感じなんです。字が汚いことを恥じるのは、日本特有の現象だと思います」
確かに日本人は文字に対して、特別な美意識があるかもしれない。稲垣のように自分の字に劣等感を抱く人が多く、『30日できれいな字が書けるペン字練習帳』(宝島社刊)はシリーズ累計340万部を売り上げる。『中居正広のミになる図書館』(テレビ朝日系)ではタレントの文字に得点をつける企画が人気になるなど、美しい文字に多くの日本人が憧れているのがよくわかる。
その背景にあるのは、「手書き離れ」が1つの要因として考えられる。日本筆跡心理学協会会長の根本みきこさんが指摘する。
「現代はパソコンやスマホが普及し、連絡手段も手紙よりメールやLINEなどのSNSが主流になりました。書道教室より英会話塾や学習塾が人気になった影響もあるでしょう。親世代を中心に達筆な人が減り、子供が美しい文字の素晴らしさを学ぶ機会が減ったことも汚文字の増加につながりました」
自分の字が人目に触れる機会が減り、字が汚くても矯正する必要がなくなったため、汚文字の書き手が増えたとの指摘もある。
※女性セブン2017年9月28日号