あくびは眠い時に出るもの。しかし、睡眠不足や疲れているわけでもないのに、なぜかあくびが止まらない…。しゃっくりも同様。自分の意志とは関係なく出て、なかなか止まらず、困った経験はないだろうか? 自分ではコントロールできないあくびとしゃっくりの悩みを解決すべく、その仕組みと止め方について、専門家に教えてもらった。
予期せぬ時に突然出るうえ、状況によっては失礼にあたるため、困ることも多いあくびとしゃっくり。なぜ突然出るのか、止める方法はあるのか、目黒通りハートクリニック院長で内科医の安田洋さんはこう語る(「」内、以下同)。
「あくびが起こる原因は、実は解明されていません。基本的には生理現象とされ、無理に止める必要はないというのが医学的な見解です」
あくびは、睡眠不足や疲れている時など、脳に酸素が足りていない時に起こりやすい。また、緊張している時に、その状態を緩和するために起こる場合も多い。こういったケースなら生理現象なので問題ないが、“生あくび”は病気のサインかもしれない。
「眠くない、疲れていないのに頻繁に起こる生あくびには注意が必要です。さらに、めまい、手足のしびれ、ふらつき、ろれつが回らないなどの症状が同時に出たら、脳の病気が隠れているかもしれません。すぐに、脳神経外科や神経内科を受診してください。また、睡眠時間は充分なのによくあくびが出る人は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があり、ぐっすり眠れていないのかもしれません」
一方、しゃっくりの原因は医学的に解明されており、横隔膜の痙攣によって起こる。そのため、横隔膜への刺激を抑えられれば止められる。しゃっくりの効果的な止め方は「両耳に人差し指を入れ、約30秒押す」だ。というのも、耳の奥にある迷走神経を刺激すると、かなりの確率で止まることが医学的にも立証されている。また、息を止めて水を飲む、驚かすなどといった、しゃっくりを止めるための民間療法はいろいろあるが、いずれも、横隔膜に刺激を与える行為のため、眉唾とはいい切れない。何日も続く場合は投薬の選択肢もある。しかし、深刻なケースもある。
「私のクリニックには、3年間しゃっくりが止まらない患者がいました。そのかたは、過去に胃の手術をされていて、その縫合痕が横隔膜を刺激し、慢性的なしゃっくりの原因に。ご高齢だったので、再度手術をするのは大変と、横隔膜への刺激を抑える薬で抑えることにしました」
普通しゃっくりは、食べすぎや早食いにより胃がふくらんで横隔膜が刺激された時や、熱いもの、あるいは冷たいものを一気に飲む、炭酸飲料や香辛料などで横隔膜が刺激された時などに起こりやすい。さらに、たばこや酒、ストレスも原因になる。
この患者のケースのように、横隔膜の周囲にある胃や肝臓が炎症を起こして横隔膜を刺激するなど、病気が隠れている場合もあるので、1週間以上続くようなら、すぐに内科医に相談を。誰にでも起こるあくびとしゃっくり。仕組みを知れば、病気予防になるかもしれない。
※女性セブン2017年9月28日号