世界の人々は日本に対しどのような思いを抱いているのだろうか──今号より始まるジャーナリスト・井上和彦氏の世界の親日国を巡るレポートは、私たちの先祖が残した大いなる遺産を感じさせてくれる。第1回は、世界で最も日本と関係の深い台湾である。台湾には日本統治時代の建物がいたるところに残っており、現在も使われている。『台湾人と日本精神』(小学館)の著者・蔡焜燦(さいこんさん)さんなど多くの人々が日本統治時代を高く評価している。
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そして蔡さんをはじめ日本統治時代を経験した年配者がいまも高く評価するのが日本時代の教育いわゆる“日本教育”であり、数学などの学問だけでなく、道徳教育、勤勉、遵法精神、時間厳守などが教えられたのだった。
このことについて蔡焜燦さんはこう話している。
「台湾では、いまでも“日本精神”という言葉が、『勤勉で正直で約束を守る』という誉め言葉として使われておりますが、それはまさしく日本統治時代の教育の成果です」
台湾領有後、日本政府はただちに文部省の伊沢修二と7人の優秀な教師を送り込み、士林の芝山巌に学堂を開設し、台湾人への教育に取り組んだ。ところが6人の日本人教師が暴徒に襲われて惨殺されてしまう。後に殉職教師らは「六氏先生」と呼ばれこの地に芝山巌神社も建てられた。現在の芝山公園には、六氏先生の墓標と伊藤博文の揮毫による「学務官僚遭難之碑」が建立されているので是非とも訪れていただきたい。